業種により知っておくべき会計・経理・税務がありますが、介護事業では介護サービスごとの介護報酬の分析が重要で、国保連に請求する介護報酬は返戻があり、その分析を行わなければなりません。
介護報酬は2か月遅れの入金ですが、全額入金される訳ではなく、返戻のため、入金額は請求額以下になります。
会計の区分を行う必要もあることから介護報酬未収金の分析についてこのページでは考えてみます。
まず、介護事業では入金時ではなく請求時のサービス提供を行った月に売上計上するので、介護報酬請求の仕訳(国保連請求部分)は請求月において
(介護報酬未収金(売掛金)) ×× (介護報酬収益(売上)) ××
と仕訳し、入金時には
(普通預金等) 入金額 (介護報酬未収金(売掛金)) ××
(介護報酬収益(売上)) 返戻金額
と経理を行います。何も考えずに入金額だけそのまま介護報酬未収金を入金額だけ取り崩すと返戻金額の分売上高である介護報酬収益が減額されておらず、売上が過大計上されることになり、介護報酬未収金も返戻金額だけ残ってしまうので介護報酬未収金残高が意味のない金額になってしまい、債権管理ができなくなってしまいます。
そして再請求をする場合に再度
(介護報酬未収金(売掛金)) ×× (介護報酬収益(売上)) ××
と再請求分を請求することになります。
利用者の介護報酬回収は原則口座振替で行うのが通常ですが、介護報酬利用料は口座振替は嫌で現金払いをしたいという方もいらっしゃいますが、業務管理上どのようにすればよいでしょうか。
もちろん、現金出納帳を付けることができれば良いですが、現金を手許に置くことになり、入金記録を自身でつけなければならず、面倒になります。
お勧めは、現金受領後にそれをできるだけ早く口座に入金し、規模が小さな通常の介護事業所であれば、入金額の横に利用者の名前や報酬の内容を書き込み、通帳を現金出納帳代わりにする方法です。
これであれば、現金を会社に置き続ける必要もなく、記録も残り、会計事務所の税理士等も介護報酬の入金があったことが分かり、介護報酬の記帳を間違える可能性も減少します。
特に規模が小さなオーナー会社で報酬管理を行う場合にお勧めします。
さらに、複数の介護事業を営む場合、介護サービスごとに介護報酬の分析を行うことが介護会計(会計の区分)を行うためにも必要になります。
すなわち、介護報酬の請求の仕訳である
(介護報酬未収金(売掛金)) ×× (介護報酬収益(売上)) ××
は面倒であっても介護サービスごとの部門等を設定し、介護報酬の返戻仕訳も介護サービスごとに部門設定して行わなければなりません。
小規模の介護事業のみであれば貸借対照表で細かな部門設定は特に行わなくても良いかと思いますが、介護報酬未収金(売掛金)のみ部門設定した方が、後々介護報酬未収金の残高分析ができず、間違えた会計帳簿を修正することも難しくなるので、介護報酬未収金については部門設定を行うことをお勧めします。
さらに、介護報酬未収金は国保連請求部分と利用者負担部分があるので、その区分も行って管理し、経理を行います。
これにより介護報酬未収金残高の検証の際に国保連請求部分と利用者負担部分が適切に経理されているかが分かります。
利用者負担部分の報酬回収方法は、口座振替、振込、現金回収があるかと思いますので、会計帳簿とは別にエクセル等でもよいので入金方法別に回収状況をチェックしましょう。
これらは介護事業を行う上で重要ですので経理を行う際はご注意下さい。
介護事業では介護職員処遇改善加算が創設され、介護職員処遇改善交付金が廃止されましたが、その趣旨は同じであるため介護職員処遇改善加算の会計処理が気になるところです。
介護職員処遇改善交付金については、職員給与の支給のために預かっている助成金のため消費税がかかることはなく、また決算時に決算時に前受金処理していたので、介護職員処遇改善加算も同様なのかと気になるところですが、実は介護職員処遇改善加算については何ら通達等がありません。
一番早いのは行政に聞くことなので都道府県保健福祉部福祉局施設運営指導課法人運営グループに聞いてみたところ、他の加算と相違がないため特別な通達がなく、消費税は非課税になるという回答です。
趣旨は同じでも処理は異なるということで、不思議な気もしますが、処理に変更がある点ご注意ください。
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